マンションでWi-Fiに繋がらない場合に考えられる原因は数多く存在し、対処法は原因によって異なります。
単純に再起動すれば改善するケースもあれば、Wi-Fiルーターの買い替えが必要な場合や、インターネット回線会社やプロバイダに問い合わせなければ改善しないケースもあります。そのため、Wi-Fiに繋がらない場合は、原因を一つずつ切り分けて対応する必要があります。
今回の記事では、Wi-Fiに繋がらない原因を説明するだけでなく、対処法や原因の切り分け方についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
Wi-Fiの接続先が違う
通常接続しているWi-Fiと異なるWi-Fiに接続しようとしているため、Wi-Fiに接続できないケースがあります。
主な原因としては、次の2つです。
- 自分のものではないWi-Fiに、接続しようとしている
- 自分のWi-Fiであっても、普段使用していないWi-Fiに接続しようとしている
これらのWi-Fiに接続できない原因について説明します。
自分のものではないWi-Fiに、接続しようとしている。
マンションの自室であっても、自分のWi-Fiだけでなく他のWi-Fiも表示されることがあります。
近隣の住宅で使われているWi-Fiが表示されているため、自分のものではないWi-Fiが表示されることがあります。Wi-Fiルーターのメーカーが同じであれば、ネットワーク名(SSID)が似た名前になっているため、誤って選択してしまう恐れがあります。
そのため、まずは接続しようとしているWi-Fiのネットワーク名が自分のものか確認しましょう。
自分のWi-Fiであっても、普段使用していないWi-Fiに接続しようとしている
Wi-Fiルーターからは、2.4GHz、5GHzといった異なる周波数帯域のWi-Fiが飛んでいます。
普段は5GHzのWi-Fiしか使用しておらず、2.4GHzのWi-Fiのパスワードを端末に保存していない場合は、自分のWi-Fiであってもパスワードの入力が求められます。
接続しようとしているWi-Fiのネットワーク名を確認し、普段使用しているものと異なるWi-Fiに接続しようとしていないか確認してください。
ルーターの電源が切れている
Wi-Fiの電波は、Wi-Fiルーターから発せられるため、ルーターの電源が切れている場合はWi-Fiに接続できません。
Wi-Fiルーターの電源が切れているという単純なケース以外にも、次のような場合でもWi-Fiに接続できなくなるため注意が必要です。
- Wi-Fiルーターの一時的な動作不良(Wi-Fiルーターを再起動すれば、改善する場合が多い)
- 電源アダプターやケーブルが抜けかかっている(ケーブルの抜き差しを行い、Wi-Fiルーターを再起動すれば改善する)
Wi-Fiルーターの再起動やケーブルの抜き差しを繰り返しても動作不良が改善しない場合は、Wi-Fiルーターの故障が考えられます。
電波が弱い程度であっても何年も使用している場合は劣化が考えられるため、新しいWi-Fiルーターに買い換えることも検討することをおすすめします。
パソコンやスマホの不具合
Wi-Fiに接続できない場合は、Wi-Fiルーター以外にもWi-Fiを受信する端末(パソコンやスマホ)に原因がある可能性もあります。
例えば、スマホではWi-Fiに接続できるのに、パソコンでは接続できない場合は、Wi-Fiルーターの不具合ではなく、Wi-Fiを受信するパソコン側に原因がある可能性が考えられます。
受信側端末が原因でWi-Fiに接続できない場合は、以下の内容を確認し改善するか試してください。
- Wi-Fiの接続先を、別のWi-Fiに変更する
- Wi-Fi機能を一旦OFFにした後にONにして、再接続する
- 端末を再起動する
これらを試しても特定の端末のみWi-Fiへの接続ができない場合は、その端末に不具合が起きている可能性があります。
なお、会社使用のパソコンでプロキシサーバーを経由してインターネットに接続する場合は、接続経路が複雑になるためWi-Fiの接続が不安定になることがあります。このような場合は会社指定の問い合わせ先に連絡し、対応策を確認することをおすすめします。
インターネット回線の料金を払っていない
インターネット回線やプロバイダの料金の支払いが滞っている場合は、インターネットに接続できません。このような場合は、Wi-Fiには接続できても外部のインターネット回線に接続できない状態になります。
料金を支払っている場合でも、パソコンやスマホがWi-Fiには接続できても、Webページが表示されないなら、プロバイダーやインターネット回線に問題がある可能性があります。
料金の支払状況を含め、プロバイダーやインターネット回線の会社に問い合わせを行い、原因を確認すると良いでしょう。
モデム、ONUの不具合
Wi-Fiに問題がなくても、モデムやONUに不具合があった場合は、インターネット回線に接続できません。
モデムとは、電話回線のアナログ信号とパソコン用のデジタル信号を相互に変換するための装置です。アナログ回線が使われていた頃にモデムは広く用いられていましたが、光回線が主流となった現在では、モデムの代わりにONUという光信号とデジタル信号を相互に変換する装置が用いられています。
ONUで不具合が起こった場合は、ONUの再起動を行います。再起動しても改善しない場合は、以下の対処法を試すと良いでしょう。
- ONUの電源が入る場合は、ONUの取扱説明書を確認し動作不良のランプが点灯していないか確認し、取扱説明書に記載されている対応策を試す
- ONUの電源が入らない場合は、電源の抜き差しを行い電源が入るか確認する。改善しない場合は、ONUの故障が考えられるため、インターネット回線の会社に連絡する
Wi-Fiの電波が届きにくい場所がある
Wi-Fiには、鉄筋コンクリートや金属、石材などは電波を通しにくく反射しやすいという特性があります。また、これらの素材を用いていなくても、廊下や壁を隔てた別の部屋では、Wi-Fiが繋がりにくい場合もあります。
Wi-Fiルーターの近くでは問題なく接続できるのに、別の部屋に移動した際に接続状態が悪くなる場合は、十分にWi-Fiの電波が届いていない可能性があります。
このような場合は、以下の内容を試し、Wi-Fiの接続状況が改善するか確認してください。
- WI-Fiルーターの位置を変える
- Wi-Fiの中継機を追加する
- 電波の強いWi-Fiルーターに買い換える
WI-Fiルーターの位置を変える
Wi-Fiルーターの場所を変えることで、Wi-Fiの電波が届きにくかった部屋での電波状況が改善できる可能性があります。
Wi-Fiルーターを移動させる際は、ONUから外して移動先でのWi-Fiの接続状況を確認するだけでなく、LANケーブルの配線を伸ばせるかに関しても確認が必要です。
また、Wi-Fiルーターの場所を変更する際は、できるだけ壁やドアがない見通しの良い場所に設置し、LANケーブルを伸ばした際に足で引っ掛けることがないような配線になるように注意しWi-Fiルーターを移動しましょう。
Wi-Fiの中継機を追加する
Wi-Fiルーターの場所を変更したとしても、離れた場所にある別室や密閉性の高い浴室、トイレではWi-Fiの電波が届きにくい傾向にあります。このような場合は、Wi-Fiルーターの中継機を追加し電波状況を改善することをおすすめします。
中継機とは、Wi-Fiの電波を利用できる範囲を広げるために用いる装置です。Wi-Fiの電波は壁や障害物を通り抜けるために弱くなるという特性があるため、壁を何枚か隔てた部屋や四方を壁で覆われた部屋ではWi-Fiに接続しにくくなる可能性があります。
Wi-Fiルーターの中継機をWi-Fiの接続状況が悪い場所との中間地点に設置することで、Wi-Fiの電波が弱くなる前にWi-Fiの電波を再発信し、接続状況の悪かった部屋でもWi-Fiに繋がるように電波をしっかり届けられます。
Wi-Fiの中継機を追加するメリットは、既存のWi-Fiルーターの場所を変えたり、Wi-Fiルーターを買い換える必要がないという点です。
中継機のメーカーによっては中継機のボタンを押すだけで簡単に設定できたり、他メーカーの製品でも接続できたりする製品があります。さらに、スマホアプリで中継機の場所をガイドしてもらえるサービスまで用意しているメーカーもあります。
このように、Wi-Fiの電波の接続状況が悪い場所がある場合は、中継機を追加し電波状況を改善することを検討すると良いでしょう。
電波の強いWi-Fiルーターに買い換える
ワンルームマンションであれば特に気にする必要はありませんが、部屋数の多いマンションの場合は電波を遠くまで飛ばせるWI-Fiルーターに買い換えることで、Wi-Fiルーターの場所を変えたり、中継機を追加したりしなくても電波状況が改善する可能性があります。
Wi-Fiルーターを選ぶ際の注意点を次の表にまとめていますので、選ぶ際は参考にしてください。
注意点 | 詳細 |
自宅の間取りにあったWi-Fiルーターを使用しているか? | 部屋の数が多いマンションに住んでいる場合は、電波を遠くまで飛ばせる外付けアンテナが付いたWi-Fiルーターを選ぶことをおすすめします。 |
同時接続数は使用状況に対応しているか? | スマホ、タブレット、パソコンのように1人で複数台数の端末をWi-Fiに接続する場合があるため、プリンターや家電も含めて接続台数が足りているか確認する。 |
通信速度の早い通信規格に対応しているか? | 11acや11axといった新しい通信規格のほうが、通信速度は早い傾向にあります。 |
障害物に強い周波数帯に対応しているか? | Wi-Fiには、2種類の周波数(2.4GHzと5GHz)があり、壁などの障害物に強いのは2.4GHzです。5GHzは、他の機器が発する電波との干渉が少なく、安定して高速な通信ができるという特性があります。 |
IPv6に対応しているか? | IPv6は、新しいインターネットプロトコルの規格であり、利用者の多いIPv4とは異なるルートでインターネット回線に接続するため、混雑しにくいという特徴があります。 |
Wi-Fiがオフになっている
パソコンやスマートフォンのWi-Fi接続のモードがOFFになっていたり、機内モードになっている場合は、Wi-Fiに接続できません。
また、パソコンの場合は、本体にWi-FiのON、OFFを切り替える物理的なスイッチが付いている場合があります。さらに、Wi-FiのON、OFFを切り替えるソフトがインストールされている場合や、キーボードのショートカットキーにWi-FiのON、OFFが割り当てられている場合もあります。
自分ではWi-FiをOFFにしたつもりはなくても、知らない間にWi-FiがOFFになっていた可能性があるため、取扱説明書を見てWi-FiがOFFになっていないか確認することをおすすめします。
Wi-Fiの電波が干渉を受けている
Wi-Fiの電波と家電が発する電波が干渉することで、Wi-Fiの通信状態が不安定になることがあります。特に、Wi-Fiルーターの近くに家電を置いていたり、マンションの場合は隣の家のWi-Fiルーターの電波の影響を受けたりして、電波の干渉を受ける場合があります。
2.4GHzは干渉を受けやすいので注意
Wi-Fiルーターには、2.4GHzと5GHzの2種類の周波数帯の電波があります。多くの家電では2.4GHzの電波を使用しているため、2.4GHzの電波をWi-Fiルーターで使用していると干渉を受けやすくなるため注意が必要です。
電波干渉が起こった際の対処法
Wi-Fiの電波干渉が起きると、通信速度が急激に低下したり、インターネットへの接続が途切れたり不安定になったりします。
Wi-Fiへの電波干渉を起こしやすい家電として、テレビ、電子レンジ、IHクッキングヒーター、コードレスの固定電話、Bluetooth機器が例として挙げられます。Wi-Fiルーターの近くにこのような家電があり通信状態が不安定な場合は、次の対処法を行うと良いでしょう。
- Wi-Fi-ルーターを家電から離す
- Wi-Fiルーターの周波数帯を切り替える
- Wi-Fiのチャンネル数を変更する
また、Wi-Fiルーターが家電による電波干渉を受けないように、次の対策を行うことをおすすめします。
- Wi-Fiルーターの置き場所を変える
- 新しい規格に対応したWi-Fiルーターに買い換える
- 干渉回避機能のあるWi-Fiルーターに買い換える
- 有線で接続する
LANケーブルが断線している
モデムやONUに挿入されているLANケーブルが断線していた場合は、Wi-Fiに接続しているパソコン、スマートフォンのすべての端末が、Wi-Fiには接続できていてもインターネット回線に接続できません。
まずはLANケーブルの再接続や、モデム、ONUの再起動を行います。それでも改善されない場合は、現在使用しているものとは別のLANケーブルに交換し改善するか試すと良いでしょう。
LANケーブルの断線を防ぐためには、次の3点に注意してください。
- LANケーブルを結束バンドでまとめる
- LANケーブルをモールで固定する
- LANケーブルの破損や断線を防ぐ、ブレークアウェイアダプターを使用する
マンションの回線が混雑している
IPv4 PPPoEと呼ばれる昔から用いられているインターネットの接続方式の場合は、アクセスが集中する時間帯に回線速度が低下する場合があります。この回線速度の低下は、NTT基地局からプロバイダへの通信経路である「網終端装置」へのアクセスが混み合うことで起こります。
マンションの回線の混雑を避けるためには、IPv6 IPoEと呼ばれるインターネットの通信方式に変更することで改善が可能です。IPv6 IPoEは「網終端装置」を経由しなくてもインターネットへ接続できるため、アクセスが集中している時間帯でも影響を受けにくく、回線速度の低下を防げます。
マンションで契約しているプロバイダの接続方式がIPv4 PPPoEの場合は、IPv6 IPoEへの変更やIPv6 IPoEに対応しているプロバイダと契約できないか、管理会社や大家さんに相談すると良いでしょう。
誤ったWi-Fiの接続情報が保存されている
自宅のWi-Fiルーターでも、今まで接続したことのないネットワークであれば、端末にパスワードが保存されていないため、パスワードを入力しなければ接続できません。
例えば、2.4GHz、5GHzのように周波数帯の異なるWi-Fiや、WPA3の有無といったようにWi-Fiの種類は1つではありません。
さらに、Wi-Fiのネットワークごとにパスワードが異なるケースがあるため、誤って普段使用していないWi-Fiを選択してしまった場合は、パスワードの入力を求められます。他のWi-Fiのパスワードを入力しても接続できないため、Wi-Fiに繋がらないという状態になってしまう恐れがあります。
自宅のWi-Fiであっても、接続しようとしているWi-Fiが普段使用しているものと同じか、確認しましょう。
解決しない場合はプロバイダ、回線業者に問い合わせる
この記事で説明した対処法を試しても改善しない、原因がわからない場合は、契約しているプロバイダやインターネットの回線業者に問い合わせることをおすすめします。
プロバイダやインターネット回線に問い合わせても問題が無かった場合は、この記事で説明した原因を見落としている可能性があります。改めてWi-Fiに接続できない原因を調べ、改善できないか試してみると良いでしょう。
まとめ
マンションのWi-Fiが繋がらない原因は、この記事で説明したように種類が多く、原因によって対処法も異なります。
Wi-Fiに接続できない場合は、まず他の端末でもWi-Fiに繋がらないか確認し、原因が接続しようとしている端末にあるのか、他にあるのかを切り分けることが重要です。
端末に原因がある場合は、次の見出しで説明した内容を確認し、改善できるか試してください。
- パソコンやスマホの不具合
- Wi-Fiがオフになっている
- 誤ったWi-Fiの接続情報が保存されている
端末側に問題がなければ、他に原因がないかさらに調べる必要があります。次の見出しで説明した内容を調べ、改善するか確認しましょう。
- Wi-Fiの接続先が違う
- Wi-Fiの電波が届きにくい場所がある
- Wi-Fiの電波が干渉を受けている
- マンションの回線が混雑している
なお、全ての端末がWi-Fiに接続できない場合は、次の見出しで説明した内容を確認し改善するか試してください。
- ルーターの電源が切れている
- インターネット回線の料金を払っていない
- モデム、ONUの不具合
- LANケーブルが断線している
これらの内容を全て調べても改善しない場合は、インターネットの回線会社やプロバイダに問い合わせを行い、サポートを依頼することをおすすめします。
このように、Wi-Fiに接続できない原因を切り分けることで、適切な対処法が可能になります。今回説明した内容を参考にして調査してみてください。