仕事がうまく進まない部下を、評価語の前に見る

期待した成果が出ないとき、短い評価語で相手をまとめてしまいがちです。業務、条件、支援を分けて、次に確認すべきことを考えます。

依頼した仕事が何度も止まり、部下への伝え方や支援の仕方に悩む場面はあるかもしれません。例えば、約束した日に資料が届かず、尋ねると「まだ途中です」とだけ返ると、担当者全体を短い評価語で捉えたくなります。しかし、その語は次の対応を決める材料をほとんど増やしません。見るべきなのは、人の価値ではなく、どの作業が、どの時点で、何を待って止まったのかです。

どの仕事のどこが止まるのか

まず、未達を一つの塊にしないで見ます。期限に間に合わなかったのか、形にはなったが目的に合わなかったのか、途中で判断に迷っていたのか、遅れそうな連絡がなかったのか。同じ「進まない」でも、必要な手当ては異なります。提出物だけを見ていると、手を動かす前に止まったのか、仕上げで迷ったのかが見えません。

観察できるのは、依頼した時刻、渡した資料、途中で届いたもの、質問や連絡の有無、完成物に残った差です。反対に、「やる気がない」「理解力が足りない」といった説明は、その場では確かめにくい解釈です。解釈を先に置くと、遅れた理由を本人の内側に探し続け、依頼の作り方や確認の置き方を見落としやすくなります。

仮に、定例の報告メモを金曜正午までに頼み、届いた案に必要な項目が二つ抜けていたとします。このとき確認したいのは、項目の存在を知らなかったのか、分かっていたが優先順位を取り違えたのか、途中で判断を待っていたのかです。この仮例で確認できるのは、届いた案に必要な項目が二つ抜けていたことです。締切や連絡にも問題があったと決めつけず、項目が抜けた経緯を確かめるほうが、最初のつまずきを探りやすくなります。

期待が共有されていたか確かめる

依頼する側には、言ったつもりでも渡っていない前提があります。完成物の使い道、読む相手、優先する項目、参照すべき資料、他の仕事より先にする理由などです。過去に似た仕事をした経験があっても、今回と同じ資料の置き場や判断の基準まで知っているとは限りません。作業量が増えている時期なら、理解していても着手順を誤ることもあります。

共有されていたかを確かめるには、説明した量ではなく、着手時に何を根拠に選べたかを見ます。例えば依頼の直後に、「最初に何を見て、どの形から作り始めるか」を本人の言葉でたどってもらいます。ここで完成版を言い当てられるかを試す必要はありません。最初の一手、使う資料、迷った場合に止める場所が、依頼者の想定と大きく違っていないかを確かめます。

質問が少ないことも、理解の証拠とは限りません。質問してよい範囲が分からない、どこまで自分で決めるべきか迷う、過去に途中確認が役に立たなかった、という場合もあり得ます。一方で、目的と資料がそろっており、本人が最初の一手と確認点を具体的に説明できるなら、共有不足とは別の箇所を見たほうがよいでしょう。経験、情報、時間、判断の受け皿のどれが不足していたかを、実際の進み方に照らします。

次の一回で確かめることを決める

次の依頼では、完成後の反省会を長くする代わりに、途中の一回を使って着手を確かめます。開始時に、納品物、最初に作る断片、そこで止めてよい出来事を一組だけ合意します。例えば報告メモなら、最初の十分程度で見出しと扱う項目を置き、判断に迷う数字や表現が出たら、その時点で保留にする、と決めます。全部を細かく管理するためではなく、ずれが大きくなる前の場所をつくるためです。

このとき依頼者は、途中の案を受け取ってすぐ正解を示すより、「何を読んでこの順にしたのか」「次に決めることは何か」を尋ねます。答えと依頼の目的が合っていれば、そのまま進められます。ずれていれば、直すのは本人の印象ではなく、優先する相手、使う資料、確認の時点のいずれかです。支援も「もっと頑張って」ではなく、見本を一つ渡す、判断を一つ引き受ける、作業の順番を一件入れ替える、と具体化できます。

一回の試行の後は、締切だけで成否を決めません。最初の断片が予定どおり出たか、保留にした点は適切な時点で見えたか、完成前の修正がどこから生じたかを比べます。途中で止まる場所が変わらないなら、同じ励ましを重ねるより、依頼の入口や使える資料を見直す余地があります。反対に、途中確認で目的とのずれが早く見えたなら、その確認点は次の仕事にも残せます。

この見方は、修正できる通常の業務で、依頼者と担当者が途中の成果物を一度確かめられる場合に役立ちます。一方、緊急対応、安全を優先する作業、決められた手順をそのまま実行すべき仕事では、個人ごとの試行より先に、その場の手順と連絡の順番を守る必要があります。

次の一回は、開始後の早い時点で作業中の断片を見て、依頼者が答えを足す前に「この後に何を決め、何が起きたら止めるか」を尋ねてみてください。その答えが依頼の目的とつながっているか、完成後の修正がその地点から減ったかを見ます。担当者を短い評価語で決める代わりに、着手が再現できる状態になったかを確かめることが、次の支援を選ぶ判断になります。

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